歯周病と全身疾患の関連が注目されるようになったのはここ数年のことです。歯周病の細菌が血管を通って全身に回り、ここから循環器系、呼吸器系に影響を与えるというものです。特に心臓病や糖尿病との関係が深いことも明らかになっています。歯周病は歯だけにとどまらず、命さえもおびやかすといわれるのはそのためです。
例えば糖尿病患者に歯周病が多いことは以前から指摘されていましたが、ニューヨーク州立大学では、最近、歯周病併発患者にブラッシングによる歯周病の治療を徹底させたところ、血糖値が低下したことを発表しました。このことにより歯周病が糖尿病治療を困難にさせていることが明らかになりました。さらに、心筋梗塞などの心臓病でも、歯周病菌が病巣部から検出され関連が疑われています。ノースカロライナ大学は、心筋梗塞のマーカーでもあるCRPというたんぱく質が、歯周病菌が引き起こす炎症に関係していることに注目。心臓発作を起こした患者のうち、歯周病にもかかっている人のCRPがそうでない人より高いことを突き止めました。
意外なところでは、早産にも関与しています。妊婦には歯周病患者が多く、低体重児早産は歯周病菌が血液を介して子宮に影響を与えた結果引き起こされるというのです。他にも食道がんとの関連を示唆する研究も、国立がんセンターから報告されました。ストレスが歯周病を発症させるとの説もあります。 |